戻り駅
次に青空が見えて、間髪入れず後頭部に激しい衝撃を受けた。


 あぁ、そういえばブロックの破片が落ちていたっけ。


 冷静に考えている自分がいる一方で、すぐに視界がかすんできた。


 頭からなにか暖かなものが流れ出している感触があり、誰かが車に乗り込んでエンジンをかける音も聞こえてくる。


 だけど耳の表面に膜でも張ってあるかのように、どこか遠くに聞こえてくるようだった。


 消えていく意識の中、誠の顔が見えた。


 誠の声も微かに聞こえてきた。


 誠、大丈夫だから。


 だから、生きて。


 そこで私の意識はプツリと途切れた。
< 97 / 116 >

この作品をシェア

pagetop