はじまりの国でまた出会った僕らは一万年後の世界でまた君と恋をする

プロローグ

　ゴーン、ゴーン…。


　空高くに浮かんでいる大鐘(おおがね)が何かを知らせるかのようにあたり一面に鳴り響く中、一人の少女が目を覚ました。


　ここはどこだろうか。

　見たことのない世界で少し、いや、かなり驚いている。
　

　この世界は夢だろうか。でも、夢にしてはリアルすぎる空間だ。


　あれ、私今さっきまで何してたっけ…。

　今使えるだけの脳細胞を働かしているのに何も思い出すことができない。

　人間はどうやらものすごく驚くと脳の思考回路がバグを起こすらしい。



　そう、働かない頭でここまでの経緯(いきさつ)を必死に思い出そうとしていた時、上の方から懐かしく、そして、馴染みのある声が降ってきた。



「久しぶり、鈴音(すずね)。俺がいない間、元気だった？」



　声の方に目を向けると、逆光で顔がわからなかった。でも、何度も聞いたことのある声で、誰よりも一番聞きたくてたまらなかった声だから、たとえ顔が見えなくたってわかる。





　だってその声の持ち主は、





「久しぶり、やしろ。ずっと、会いたかったよ。」













　もう死んだはずの大好きな人だからー。