魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
それがビシビシと伝わってくるから、俺は獰猛な衝動に駆り立てられる。


「ど、退いてください。私、フロントで別の部屋を手配してもら……」

「行くな。ここにいろ」


逃げようとする彼女を回り込んで耳元に囁きかけると、その肩がビクッと震えた。


「神凪さ……っ……」


サッと背を屈めて覆い被さり、唇を奪う。
無意識か、逃げようとする腰を抱き寄せ、ドアの角まで追い詰める。


「んっ、ん……」


わざと音を立てて舌を絡ませながらグイグイ踏み込んでいくと、椎名がくぐもった声を漏らした。
最後の抵抗のつもりか、俺の胸を押し返そうとしていた手から、力が抜け落ちていくのがわかる。


「はっ……」


熱く激しいキスを交わし、俺の方から唇を離すと、彼女はその場に頽れた。
肩で息をしながら、俺を見上げてくる。
潤んだ瞳に劣情が煽られ、俺の中でなにかがドクッと脈打った。


「お前、俺に無関心じゃない、そう言ったな」


俺は弾け飛びそうな理性を必死に繋ぎ止めながら、彼女の前にしゃがみ込み、床に片膝を突いた。
赤く火照った頬を、手の甲でくすぐる。
片目を瞑って反応する彼女に、興奮が煽られる。
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