魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「だったら……本気見せてやるよ」

「!? ひゃっ……!」


膝を掬うようにして抱き上げると、椎名がひっくり返った声をあげた。


「か、神凪さんっ!」


ジタバタと手足をバタつかせる彼女に構わず、部屋の奥へと突き進む。
セミダブルのベッドが二つ並んでいるのが目に映ったのか、腕の中で椎名が身体を強張らせた。
俺がベッドの真ん中に下ろすと両腕で自分を抱きしめ、非難するような目で見上げてくる。


俺は彼女の黒い瞳を見つめたまま、勢いよく上着を脱ぎ捨てた。
ベッドに片膝を置いて乗り上げた俺に、椎名はビクンと身を縮める。


「椎名」


名を呼びながら顎を傾け、キスをしようと近付く俺から、千切れるんじゃないかと心配になるほど、首を捩じって避けた。
そして。


「今野さんのこと、好きなんでしょ!?」


声を張って叫ぶ。
俺は、ピクッと眉を動かした。


「パイロットになってって言われた頃からずっと……私は今日、それを神凪さんに直接確かめに来たんです!」


俺が無言でいるからか、椎名は荒い息で胸を弾ませながら、上体を起こそうとする。
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