魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
***


高層階にある部屋の大きな窓には、薄いレースカーテンが引かれているだけ。
その向こうには、吸い込まれそうなほど濃い漆黒の闇が広がっている。
ルームライトだけを灯した部屋、暖色の間接照明が、ベッドの上で絡まり合う私と神凪さんの肌を照らして……どれくらいの時が経っただろう。


「あ、はっ……あ」


もう何度も、熱い熱の塊を穿たれた。
生理的な涙で膜が張った瞳では、視界を保てない。
至近距離にいる彼の顔すら、はっきりわからない。
耳元で弾む息の音と、私を「芽唯」と呼び続ける低い声が、今私を抱いているのが神凪さんだと、辛うじて教えてくれる。


彼がハッと浅い息を吐いて、上体を起こした。
ほんの少しでも温もりが離れるのが不安で、私は彼を追って背を浮かした。


「や、神凪さん……」


両腕を彷徨わせて見つけた彼の首に、ギュッとしがみつく。
神凪さんが、熱い吐息を零して笑った。


「なに……お前、ベッドの上では可愛いな」


紡ぐ言葉は嫌味っぽいのに、唇に落とされるキスはこれでもかってほど甘い。


「抱いてみて、初めて知れた」

「ん、ん……」


唇を貪られて、私も短い声を漏らして必死に応えた。
戸惑いとか、恥ずかしさとか。
常識とか理性とかは、もうとっくに吹き飛ばされていた。


私じゃない、他の人が好きなくせに。
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