魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
任せとけ
翌日、午前十一時五十分。
日本エア航空新千歳発羽田行き110便は、オンタイムで新千歳空港を離陸した。
グングン高度が上がり、窓側の私の席からは、遥か眼下へと遠退く滑走路が望める。
やがて薄い雲を突き抜け、視界が真っ青な空に占められてから、ポンと音がしてベルトサインが消えた。
周りの乗客たちが、ガチャガチャと音を立ててシートベルトを外し始める。
早速席を立つ人もいる。
私の隣の席では、神凪さんが軽くシートを倒していた。
彼は東京に帰るために便乗中。
そして私も、彼と一緒に乗っている。
『わざわざ別便で帰る理由がないだろ』と、彼が強引に私の分のチケットを取ったからだ。
このシップはA320という一通路の小さめの機種で、エコノミー席は三列並びのシート配置になっている。
午前中の最後、ビジネス目的での利用客が落ち着く時間帯だからか、空席も目立つ。
この並びも、私と神凪さんの二人だけだ。
窓側と通路側に離れてゆったり使えばいいのに、神凪さんはわざわざ真ん中に座った。
彼の言動のすべてが謎で、私は端整な横顔をそっと盗み見た。
神凪さんはシートベルトを外そうとして、手元に視線を落としている。
日本エア航空新千歳発羽田行き110便は、オンタイムで新千歳空港を離陸した。
グングン高度が上がり、窓側の私の席からは、遥か眼下へと遠退く滑走路が望める。
やがて薄い雲を突き抜け、視界が真っ青な空に占められてから、ポンと音がしてベルトサインが消えた。
周りの乗客たちが、ガチャガチャと音を立ててシートベルトを外し始める。
早速席を立つ人もいる。
私の隣の席では、神凪さんが軽くシートを倒していた。
彼は東京に帰るために便乗中。
そして私も、彼と一緒に乗っている。
『わざわざ別便で帰る理由がないだろ』と、彼が強引に私の分のチケットを取ったからだ。
このシップはA320という一通路の小さめの機種で、エコノミー席は三列並びのシート配置になっている。
午前中の最後、ビジネス目的での利用客が落ち着く時間帯だからか、空席も目立つ。
この並びも、私と神凪さんの二人だけだ。
窓側と通路側に離れてゆったり使えばいいのに、神凪さんはわざわざ真ん中に座った。
彼の言動のすべてが謎で、私は端整な横顔をそっと盗み見た。
神凪さんはシートベルトを外そうとして、手元に視線を落としている。