魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
聞き返してこないから、ちゃんと神凪さんの耳にも届いたと思う。
だけど彼は絶句していて、受話器越しではなんの反応も窺えない。
「なっ、長くなるから切りますね。お休みなさい!」
私は堪らなくなり、一方的な挨拶を突きつけて電話を切った。
意味もなく大きく肩で息をした。
ズルズルと背を滑らせ、その場にへたり込む。
「〜〜っ……!」
一気に頭に血が巡り、顔が茹だる。
お土産じゃなくてあなたの無事なお帰りを待ってます、なんて、恋人気取りな言い草。
きっと、神凪さんもそう受け取ったから、呆気に取られてなにも言えなくなったのだろう。
恥ずかしすぎて、私は頭を抱えた。
でも、紛れもなく本心だった。
好きだとか、付き合ってくださいとか、確かな言葉はなにも告げられてないのに、私は神凪さんが帰国したらそう言ってくれることを期待している。
「待ってる……」
自分で口走った言葉を反芻して、天井を仰いだ。
意思とは関係なく火照る頬を冷やしたくて、ごろんと床に転がる。
待ってるから。
帰ってきたら、一番に出迎えるから。
そうしたら、ちゃんと言って。
――神凪さんは、私のこと……。
彼の心を切望する自分を認めると同時に、中途半端で宙ぶらりんだった想いが、しっかりとベクトルを定めた。
私、神凪さんが好きだ。
次に彼に会ったら、私もちゃんとこの気持ちを伝えたい。
だけど彼は絶句していて、受話器越しではなんの反応も窺えない。
「なっ、長くなるから切りますね。お休みなさい!」
私は堪らなくなり、一方的な挨拶を突きつけて電話を切った。
意味もなく大きく肩で息をした。
ズルズルと背を滑らせ、その場にへたり込む。
「〜〜っ……!」
一気に頭に血が巡り、顔が茹だる。
お土産じゃなくてあなたの無事なお帰りを待ってます、なんて、恋人気取りな言い草。
きっと、神凪さんもそう受け取ったから、呆気に取られてなにも言えなくなったのだろう。
恥ずかしすぎて、私は頭を抱えた。
でも、紛れもなく本心だった。
好きだとか、付き合ってくださいとか、確かな言葉はなにも告げられてないのに、私は神凪さんが帰国したらそう言ってくれることを期待している。
「待ってる……」
自分で口走った言葉を反芻して、天井を仰いだ。
意思とは関係なく火照る頬を冷やしたくて、ごろんと床に転がる。
待ってるから。
帰ってきたら、一番に出迎えるから。
そうしたら、ちゃんと言って。
――神凪さんは、私のこと……。
彼の心を切望する自分を認めると同時に、中途半端で宙ぶらりんだった想いが、しっかりとベクトルを定めた。
私、神凪さんが好きだ。
次に彼に会ったら、私もちゃんとこの気持ちを伝えたい。