魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「好き。好き、神凪さ」


裸の胸に彼の頭を掻き抱き、溢れ返る想いを口走る。
追い詰められて余裕を失った私の脳裏に、何故だかふっと今野さんの顔が浮かび上がった。


「っ……」


私はぎゅっと目を瞑り、網膜に焼きついた彼女の残像を掻き消して……。


「しゅう、せいさんっ……」

「くっ……あ」


神凪さんを名前で呼んだ瞬間、彼が私の腕の中でビクンビクンと痙攣した。
同時に絶頂を迎えて脱力しても、どちらからともなく唇を寄せ、まだ足りないとばかりに舌を絡ませる。


「俺の芽唯。俺の……」


神凪さんは浮かされた様子で呟きながら、私を固く抱きしめた。
まるで、手に入れた宝物の感触を確認するみたいに、私の背中を、肩を、腰を撫で回す。
今まで知らずにいた所有欲と独占欲に酔ったように、満ち足りた吐息を漏らす。


そんな彼に、私の胸がきゅんと疼いた。
身体の中心は、際限を忘れたかのように潤っている。


「もっと。もっと欲しい……愁生さん」


彼の耳に唇を寄せ、濡れた吐息交じりに懇願すると。


「ああ……俺も。一回で済ますつもりなんか、毛頭ねえよ」


限界を知らず昂る心身を充足させようと、繋がって一つになる。
まるで、昼間を超える激しい嵐みたいな一夜――。
窓の向こうの空が白み始めても、私たちは重なり合って過ごした。
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