魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「あーあー、言わんこっちゃない」
状況が把握できず、おどおどして辺りを見回す私の頭上から、呆れ果てたような声が降ってきた。
コンクリートの床を打つ靴音が、へたり込む私の前で止まった。
頭上から濃い影が落ちてきて、ハッとして顔を上げたものの……。
「っ……!?」
ぐるっと視界が回転して、焦点が定まらない。
「お前が一気飲みしたギムレットってね。さっぱりして飲みやすいけど、アルコール度数で言うと二十度以上ある。あんな無茶な飲み方すれば、膝に来るのも当然」
言い返そうとして、グッと顎を掴んで持ち上げられた。
「ちょっ……!」
「ああ、やっぱり。目の焦点も合ってないな。涙目になっちゃって。どこから見ても酔っ払い」
面白がっているようなクスクス笑いが鼻につく。
だけど悔しいことに、ご指摘通り視界がぼやける。
私の目の前にいるはずの神凪さんの顔もボーッとして、はっきり判別できない。
酔っ払い。
確かに、相当酔いが回っていることを自覚した途端きゅうっと力が抜け、身体の感覚も覚束なくなり――。
「……が」
「え?」
「私が薄汚くたって、飛行機は綺麗になるんだからいいじゃない……」
「は? あ、おいっ!」
鋭く呼びかける彼の声を、遠くの方で捉えたのを最後に、私の意識も視界も暗転した。
状況が把握できず、おどおどして辺りを見回す私の頭上から、呆れ果てたような声が降ってきた。
コンクリートの床を打つ靴音が、へたり込む私の前で止まった。
頭上から濃い影が落ちてきて、ハッとして顔を上げたものの……。
「っ……!?」
ぐるっと視界が回転して、焦点が定まらない。
「お前が一気飲みしたギムレットってね。さっぱりして飲みやすいけど、アルコール度数で言うと二十度以上ある。あんな無茶な飲み方すれば、膝に来るのも当然」
言い返そうとして、グッと顎を掴んで持ち上げられた。
「ちょっ……!」
「ああ、やっぱり。目の焦点も合ってないな。涙目になっちゃって。どこから見ても酔っ払い」
面白がっているようなクスクス笑いが鼻につく。
だけど悔しいことに、ご指摘通り視界がぼやける。
私の目の前にいるはずの神凪さんの顔もボーッとして、はっきり判別できない。
酔っ払い。
確かに、相当酔いが回っていることを自覚した途端きゅうっと力が抜け、身体の感覚も覚束なくなり――。
「……が」
「え?」
「私が薄汚くたって、飛行機は綺麗になるんだからいいじゃない……」
「は? あ、おいっ!」
鋭く呼びかける彼の声を、遠くの方で捉えたのを最後に、私の意識も視界も暗転した。