魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
額に冷たいものが当てられる感触が、深く堕ちていた私の意識をくすぐった。


「気がついたか?」


低い声で問いかけられ、


「う。ん……」


無意識に呻いて返事をする。


「そう。よかった」


ホッとしたような吐息に導かれ、私は重い目蓋を持ち上げた。
――ここはどこだろう?
私はなにかに横たわっていて、四角い天井を仰いでいる。
灯りは弱く抑えられているのか、ぼんやりと薄暗い。
なんとか視覚を働かせようと、一度ギュッと目を瞑ってからパッチリ開けてみると……。


「おい、気分悪くな……」

「だっ、誰っ……!?」


やけに綺麗な顔立ちの男の人が、いきなり瞳のド真ん中に映り込み、ギョッとして跳ね起きた。


「いてっ」

「ご、ごめんなさい」


私を覗き込んでいた男性と額がゴツンとぶつかってしまい、とっさに謝って両手で額を押さえた。
お尻をずらしてジリジリ後退しながら、忙しなく辺りを見回す。


私は、やたら存在感のあるダブルベッドの上にいた。
足元の方の壁際に、大きなテレビ。
ソファとテーブル、簡易冷蔵庫――部屋はそれほど広くなく、この調度品だけで窮々だ。


一見、安いビジネスホテル。
でも、電気を抑えているとはいえ、不自然な暗さと閉塞感は、普通のホテルならある窓ガラスがなく、外の光がなにも射し込まないせい。
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