魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「……心配するくらいいいだろ」
らしくないのは、神凪さんも同じだ。
佐伯さんがつれないと言うほどの人が、言いあぐねるとか、手をこまねくとか……彼女に返す言葉にも声色にも、なんとも言えない歯痒さが漂っていて、立ち聞きしている私までもどかしくなる。
『心配』――。
今野さんに向かってそう言う彼は、私をからかう時とは明らかに違う。
それに気付いた途端、なにか胸騒ぎがした。
「ありがとう」
今野さんが、ちょっときまり悪そうにお礼を言った。
「でも、私の心配は本当に不要。充から聞いたわよ。あなた、充の後輩の整備士と付き合ってるんでしょ」
「っ……」
気持ちを切り替えようとしてか、明るく声を転調させた彼女に話題に出され、私は思わず両手で口を押さえた。
神凪さんもとっさに返す言葉が見つからないのか、黙り込んでいる。
「私の心配してる暇があったら、ちゃんと彼女大事にしなさいよー」
彼の反応に、今野さんが勝ち誇ったように目を細めた。
「愁生は彼女できても、泣かせて長続きしないし。充も自分の後輩だし、気が気じゃないみたいよ。私たちが言い合ったのも、元を辿ればあなたのせい……」
らしくないのは、神凪さんも同じだ。
佐伯さんがつれないと言うほどの人が、言いあぐねるとか、手をこまねくとか……彼女に返す言葉にも声色にも、なんとも言えない歯痒さが漂っていて、立ち聞きしている私までもどかしくなる。
『心配』――。
今野さんに向かってそう言う彼は、私をからかう時とは明らかに違う。
それに気付いた途端、なにか胸騒ぎがした。
「ありがとう」
今野さんが、ちょっときまり悪そうにお礼を言った。
「でも、私の心配は本当に不要。充から聞いたわよ。あなた、充の後輩の整備士と付き合ってるんでしょ」
「っ……」
気持ちを切り替えようとしてか、明るく声を転調させた彼女に話題に出され、私は思わず両手で口を押さえた。
神凪さんもとっさに返す言葉が見つからないのか、黙り込んでいる。
「私の心配してる暇があったら、ちゃんと彼女大事にしなさいよー」
彼の反応に、今野さんが勝ち誇ったように目を細めた。
「愁生は彼女できても、泣かせて長続きしないし。充も自分の後輩だし、気が気じゃないみたいよ。私たちが言い合ったのも、元を辿ればあなたのせい……」