魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
重苦しくて、心臓がドクドクと音を立てる。


「あ。ええと、なにが言いたいかっていうと、ああ見えて優しいところもあるのよってことで……」


今野さんは取ってつけたように彼のフォローに回ったけれど、私の耳にはその先は残らなかった。


『その子の夢叶えてやったはずなのに、どうしてだか航空整備士と付き合ってるんだよね、ソイツ』


初めて会った時、神凪さんは航空整備士を騙った理由に、そんな説明を付け加えた。
もしかして。
いや、多分きっと――。
心をよぎった考えが明確なベクトルを定め、私の心臓がドクッと沸いたその時。


「あ、今野」


背後から男性の声がして、ハッと我に返った。
呼ばれた今野さんが振り返る。


「あれ、水無瀬君。お疲れ様」


応答する彼女につられて、私も後ろを向いた。
背が高くスタイルのいい、副操縦士の制服を着た男性がこちらに歩いてきた。
今野さんが口にした名前で、彼女や神凪さんの同期だとわかった。
グランドスタッフの間でも特に人気があるパイロットとして、遥が名前を挙げていたのを思い出す。


その彼が私に視線を流して、ニコッと優雅に微笑んだ。
確かに、爽やかな笑顔が魅力的な超イケメン――。
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