売られた令嬢
兵士達が出ていくと…

「もう大丈夫だ」

フレッド王子の声にシーツから少し顔を覗かせた。

そこには楽しそうに笑うフレッド王子の姿があった…

「申し訳…ございません…私もすぐに出ますので…」

私はドレスを掴んで上にたくしあげると急いでベッドから飛び降りた。

そしてどこに行こうかとウロウロと部屋の中を右往左往していると

「ロレッタ、お前の部屋は私の隣の部屋だ。部屋どうしは扉一枚で繋がっている。鍵はお互い付いているがかけることは許さない」

「はい…わかりました」

「私が呼んだらすぐに来るように…」

「はい。それでは失礼致します」

私は逃げるように言われた部屋に向かおうとすると

「待て、まだ行っていいと許可していない」

王子の声にピタッと足を止めた。

「今日はもう遅い、このままここで寝るといい」

王子の思いの外優しい声に私は驚いて振り向くが、自分の姿を思い出して顔を顰めた

「しかし…この姿では…」

「別に着替えてきてもいいし、そのままでも…なんなら全部脱いで私のようでも構わんぞ」

そう言われて私は改めて王子の姿を見ると…

ボッ!と一瞬で顔を赤く染めた。

王子は服を脱いで裸だったのだ!下半身はシーツで隠されていたがその鍛え抜かれた上半身に顔を逸らす。

自分とはあまりに違う男の人の裸にどうしていいのかわからずに恥ずかしくなってしまった。

お父様とも全然違う…チラッと気になりもう一度見ると

「なんなら触ってもいいぞ」

王子は私の様子に笑いながら体を触って見せた。

「え?あっ…では…失礼して…」

少々パニックになってしまい、触っていいと言われてその硬そうに引き締まった脇腹をそっと指でつついてみた。

か、硬い!何かものでも詰まっているような硬さに興味が出てきて何度もつついていると…

「それは…わざとか?それが性技の技の一つなのかな?」

「え?」

私はわけがわからずに王子を見上げると…その顔は少し赤く染っているように見えたが…いや、照明による目の錯覚だろう。

「もういいだろ…さぁ着替えて直ぐに来るんだ…」

「は、はい!」

私は触っていた手をサッと引っ込めるとドレスを落ちないように掴み、慌てて頭を下げて部屋へと走った!



ロレッタが部屋に行き扉を閉めると…

ドサッ…

フレッドはベッドへと仰向けに倒れ込んだ…

よくやった俺…

あそこでロレッタを襲わなかった自分を褒めたたえていた。



ロレッタはエミリーが用意しくれた寝間着に着替えると…少し身なりを整えた。そして…

トントン…

扉をノックする。

「入れ」

王子の声にそっと音を立てないように扉を開いた。

「遅かったな…」

王子は既に横になっているらしく暗くなった部屋のベッドの方から声がする。

「申し訳ございません」

私は謝るとその場に佇んだ。

「別に責めている訳では無い。何をしている寝るんだろ早く来るんだ」

王子の言葉におずおずとベッドに近づいた…

裸の王子の隣で寝るなんて…

いやもうあられもない姿を何度も見られてしまった…今更なんだと言うのだ。

ロレッタは覚悟を決めて王子のベッドに潜り込むと…

「遅い…」

王子にすかさずたくましい腕に抱き寄せられてしまった。

体を固めて硬直していると…

「ふっ…何もしない。力をぬけ」

見れば王子も寝間着に着替えていた。
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