売られた令嬢
しばらく進むと先にコスリガ国の王宮の城よりも大きな建物が目に入った…
私はコスリガ国から出たことはなく、アルゴラ国はおろか他所の国に来るのも初めてだった…
「あれがアルゴラ国ですか?」
「はい」
「凄い…」
私は近づく国境の門の大きさにも驚かされた…
「すみません…国境が近いので手枷を外させていただきます…本当にすみません」
御者さんは何度も謝りながら手枷を外した。
「大丈夫…もう逃げる気はありませんから…諦めました」
私が笑うと御者はうなだれるように頭を下げた。
そのまま馬車を引いてもらい国境に近づく…
「止まれ!」
アルゴラ国から兵士達が飛び出してきた!
そして御者に向かって睨みつけながら剣を突き出す。
「わ、私はコスリガ国よりご要望の品を届けに参りました!」
その言葉に兵士は馬車を見つめて剣を下ろした。
「その品は何処だ」
品…私は人でもなく物なんだ…
私は精一杯強がって馬車から降りた。
「私がコスリガ国の王子の(元)婚約者のロレッタ・ウォーカーです」
「うむ…ロレッタ嬢、長旅ご苦労様でございます…しかし従者もメイドも見えませんが…まさかあなたお一人ですか?」
兵士が馬車を睨みつけると…
「はい、それではダメでしたか?」
「いえ、ロレッタ嬢がよろしいのでしたらこちらからは何も言うことはありません…それで本人だと確認する書類はありますか?いえ!疑ってるわけではないのですが…そういう成り代わりを考える輩もいるもので…」
えっ…そんなの知らないんだけど…
私が困っていると…
「こ、こちらを預かっております」
御者が何かを差し出した。
兵士の隊長らしき人がそれを受け取り確認すると…
「…分かりました。ではロレッタ嬢をお預かり致します」
「は、はい」
御者は馬車から私の荷物を下ろすと逃げるように帰っていった。
「なんだあれは…」
兵士達がそそくさと離れる馬車に呆れると、御者の下ろした荷物を拾って自国の馬車へと積み直した。
「ではアルゴラ国へようこそ」
「はい…」
私はこうして一人アルゴラ国へと売られたんだと再確認した。
コスリガ国の馬車よりも倍に大きな馬車に乗せられて私は王宮へと連れてこられた。
そこでまず最初にお風呂に放り込まれると頭の上から足の指の先まで丁寧に何度も洗われる。
髪を整えられて、軽く化粧をされると肌がかなり露出するドレスを着せられて何処かに連れていかれた…
重厚な扉の前には厳重な警備がされており、そこを通るとフカフカの絨毯の敷かれた部屋へと入った。
前を見ると巨人でも座れそうな椅子に一人の男性が座っていた…その傍には数人の男性がいるがすぐに下を向いたのでよく確認出来なかった。
中央の少しお年を召した男性が灰色の口ひげを撫でながらじっとこちらを値踏みするように見ている。
私は膝を付くと…
「あなたがコスリガ国の姫かな?」
「は、はい…ロレッタ・ウォーカーと申します。この度は我が国への支援をありがとうございました…」
「あなたはその代わりに売られたとわかっているのかな?」
「…はい」
「ならばよろしい。あなたにはうちの第二王子のフレッドの相手をしてもらおう」
そういうと一人の男性が動くのを感じた…しかし恐怖で顔をあげることも出来なかった…
その後何か言われるが何もわからずにここに連れてこられたのでしどろもどろになりながらどうにか受け答えをすると別室へと案内された。
「ここで少しお待ちください」
ずっと付いていたメイドさんにそう言われると部屋で一人取り残される。
部屋を見ると寝室のようで人が何人も寝れそうな広いベッドに高級そうな机とソファー、簡易的な机が配置されたシンプルな部屋だった。
少し落ち着いた色合いに男性のしかも高貴な方の部屋なのではないかと推測する。
ソファーに座る訳にもいかず部屋のすみで立って待っていると…
「ようやく来たな…」
男性の声に私は驚いて振り返った!
するとそこには私より歳が上な、茶色い髪の控えめにいってもかなり美男子な男性が立っていた。
私はコスリガ国から出たことはなく、アルゴラ国はおろか他所の国に来るのも初めてだった…
「あれがアルゴラ国ですか?」
「はい」
「凄い…」
私は近づく国境の門の大きさにも驚かされた…
「すみません…国境が近いので手枷を外させていただきます…本当にすみません」
御者さんは何度も謝りながら手枷を外した。
「大丈夫…もう逃げる気はありませんから…諦めました」
私が笑うと御者はうなだれるように頭を下げた。
そのまま馬車を引いてもらい国境に近づく…
「止まれ!」
アルゴラ国から兵士達が飛び出してきた!
そして御者に向かって睨みつけながら剣を突き出す。
「わ、私はコスリガ国よりご要望の品を届けに参りました!」
その言葉に兵士は馬車を見つめて剣を下ろした。
「その品は何処だ」
品…私は人でもなく物なんだ…
私は精一杯強がって馬車から降りた。
「私がコスリガ国の王子の(元)婚約者のロレッタ・ウォーカーです」
「うむ…ロレッタ嬢、長旅ご苦労様でございます…しかし従者もメイドも見えませんが…まさかあなたお一人ですか?」
兵士が馬車を睨みつけると…
「はい、それではダメでしたか?」
「いえ、ロレッタ嬢がよろしいのでしたらこちらからは何も言うことはありません…それで本人だと確認する書類はありますか?いえ!疑ってるわけではないのですが…そういう成り代わりを考える輩もいるもので…」
えっ…そんなの知らないんだけど…
私が困っていると…
「こ、こちらを預かっております」
御者が何かを差し出した。
兵士の隊長らしき人がそれを受け取り確認すると…
「…分かりました。ではロレッタ嬢をお預かり致します」
「は、はい」
御者は馬車から私の荷物を下ろすと逃げるように帰っていった。
「なんだあれは…」
兵士達がそそくさと離れる馬車に呆れると、御者の下ろした荷物を拾って自国の馬車へと積み直した。
「ではアルゴラ国へようこそ」
「はい…」
私はこうして一人アルゴラ国へと売られたんだと再確認した。
コスリガ国の馬車よりも倍に大きな馬車に乗せられて私は王宮へと連れてこられた。
そこでまず最初にお風呂に放り込まれると頭の上から足の指の先まで丁寧に何度も洗われる。
髪を整えられて、軽く化粧をされると肌がかなり露出するドレスを着せられて何処かに連れていかれた…
重厚な扉の前には厳重な警備がされており、そこを通るとフカフカの絨毯の敷かれた部屋へと入った。
前を見ると巨人でも座れそうな椅子に一人の男性が座っていた…その傍には数人の男性がいるがすぐに下を向いたのでよく確認出来なかった。
中央の少しお年を召した男性が灰色の口ひげを撫でながらじっとこちらを値踏みするように見ている。
私は膝を付くと…
「あなたがコスリガ国の姫かな?」
「は、はい…ロレッタ・ウォーカーと申します。この度は我が国への支援をありがとうございました…」
「あなたはその代わりに売られたとわかっているのかな?」
「…はい」
「ならばよろしい。あなたにはうちの第二王子のフレッドの相手をしてもらおう」
そういうと一人の男性が動くのを感じた…しかし恐怖で顔をあげることも出来なかった…
その後何か言われるが何もわからずにここに連れてこられたのでしどろもどろになりながらどうにか受け答えをすると別室へと案内された。
「ここで少しお待ちください」
ずっと付いていたメイドさんにそう言われると部屋で一人取り残される。
部屋を見ると寝室のようで人が何人も寝れそうな広いベッドに高級そうな机とソファー、簡易的な机が配置されたシンプルな部屋だった。
少し落ち着いた色合いに男性のしかも高貴な方の部屋なのではないかと推測する。
ソファーに座る訳にもいかず部屋のすみで立って待っていると…
「ようやく来たな…」
男性の声に私は驚いて振り返った!
するとそこには私より歳が上な、茶色い髪の控えめにいってもかなり美男子な男性が立っていた。