売られた令嬢
見るからに身なりの良い格好に王族と判断して私は膝をつき頭を下げた。

向こうが何か言うのを待っていると…足音もなく近づいてくる。

足がすぐ目の前に見えると…

「顔をあげろ」

低く冷たい声でそう言われた。

恐る恐る顔をあげて男性を見上げると…

「お前がジョージ王子の婚約者か…聞いていたよりも地味だな…もっとケバケバしいのかと思っていたが…」

長い指で顎を触られるとクイッと上を向かされる。

「全く国を傾ける悪女だな…お前のせいでコスリガ国は潰れるところだったぞ」

それは…私じゃない…

そう叫びたいが黙って目を伏せた。

「ん…まぁいい。ロレッタと言ったな、お前は今日から私のモノになる、異論はないな」

「…はい…」

という事はこの方がフレッド王子と言うことか…

あの国にはいい思い出なんて無かったが罪もない民達が苦しむ事になるくらいなら…同じ我慢をするならここですればいい…

私は諦めるように頷いた。

「ふーん…もっと抵抗すると思っていたが…なんか話と違うな…」

王子は顎を触りながら考えるように私を見つめている。

「申し訳ございませんが…私この国の事を何も聞かされておりません…」

「ああ、そうか。私はこの国の王子のフレッド・キャンベルだ」

「キャンベル様…」

「フレッドでいい。ベッドの上でキャンベルと呼ばれるのは好きじゃないんだ」

「ベッドの上?」

私は首を傾げると…

「聞いていなかったのか?ロレッタ、君はこれから俺のものになるんだ」

フレッド王子はそういうと軽々と私を抱き上げてあの大きなベッドへと連れていった。

そしてそこにはドサッと落とすとおもむろに服を脱ぎ出した!

「な、何を…」

私は後ろを向いて顔を逸らした。

「何って…おいおい、コスリガ国のジョージ王子の婚約者は王子をその性技でたらしこんだと噂になってるぞ、そんな初物のようなわざとらしい反応なんてしなくてもいいのに…」

そう言って笑う声と服を脱ぐ音がした…

振り返ることも出来ずに固まっているとツーっとパックリと開いた背中を指で触られる。

「ヒャッ!」

思わず声が漏れると…

「その反応…」

なんか言われるがパニックで何も考えられない…自慢じゃないがもちろん男性の経験なんてない!

お付き合いだってまだ誰ともした事ないのに…
王子婚約者に決まり性の授業は受けたが…書面でだけだった。

あれよあれよという間に気がつけばフレッド王子に押し倒されていた。

「あ、ああの…王子…今日は初日ですし…話など…」

「何を言う、初日だからこそこうやって肌で感じあい相性を確かめ合うのだろう?」

王子は慣れた様子で私の服を触るといつの間にか脱がしていた!

「あっ…」

下着姿を見られて顔が赤くなる…どこを隠せばいいのかわからずにとりあえず恥ずかしさのあまりに顔を隠した。

「なんだ…」

王子は困惑した様子で少し止まってくれた。

私はやはり自分の魅力の無さに諦めてくれたのかとほっとすると…

「なるほど…ジョージ王子を魅了しただけはある…」

顔を覆っていた手を退かしたすきにフレッド王子の整った顔が間近に迫り…そのまま私はファーストキスを奪われた。
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