白鳥に魅入られる
青音家は、華族の中でも一番の権力を持った家であり、多くの華族が誕生するきっかけとなった家だ。噂では皇族との繋がりもあるという。そのような家のご子息に見初められるなど、娘を持つ父親として嬉しいことはない。

「忠様が、鹿鳴館で行われる舞踏会にご招待してくれた。そこで仲を深めなさい。そして、青音家に嫁ぐんだ」

淡々と話す父だったが、その目は華族のトップに君臨する家との繋がりができることに嬉々としている。ましろは戸惑い、口を開いた。

「お父様、私はそのような家に嫁ぐのに相応わしいとは言えません。お姉様の方が忠様にとってもいいのではーーー」

「先方がお前を名指ししてきたんだ。仕方ないだろう。俺たちだって、お前よりもあの子を嫁がせてやりたいんだ。何でお前なんかに……」

ヤマトタケルが屋敷に来てからはずっと言われなかった暴言をツラツラと聞かされ、ましろの気持ちはどんどん冷めていく。結局、私は家族には愛されないんだと悲しくもなっていく。その時だった。
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