先生と私の三ヶ月
 黒目の大きな目から慌てて逸らすけど、胸がざわざわして落ち着かない。先生とちょっと目が合っただけで動揺するなんて変だ。

 先生が私の答えを待つようにじっと見ている。
 何か言わなきゃ。何か……。

「いえ。あの、先生にバカにされるネタをまた一つ提供してしまったと思って」

 本当。なんでこんな話をしちゃったんだろう。先生がピンクのネグリジェがよく似合っていたなんて事を言い出したからいけないんだ。ピンクは私には一番似合わない色だって言っているのに。

「まだピンクのネグリジェを着ていれば良かったのに。似合っていたぞ」
 今の私はランドリーサービスから戻って来た洗濯したてのTシャツとジーパンを身に着けている。

「先生、しつこいですよ。ピンクは一番似合わない色だと何度言わせるんですか」
「本当に悪い魔法がかかっているな」
 先生がため息をついた。

「悪い魔法? 私が呪われているとでも言うんですか?」
「ガリ子」
 急に先生が静かな声で呼んだ。視線を向けると先生が真面目な顔でこっちを見ている。
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