先生と私の三ヶ月
「昨夜も言ったが、お前は美人だよ」

 急激に頬が熱くなる。昨夜の先生の言葉が頭の中で再生されて、背中に変な汗が出てくる。今すぐこの場から逃げ出したい。もう、なんで美人じゃないのに、そんな事ばかり言うの? 私をからかっているの?

「ガリ子、ぶすっとした顔するな。美人が台無しだから」
「やめて下さい! 私は美人じゃないです! 昨日から、先生どうしたんですか? 私をからかっているんですか? なんか先生、変です! 私に優し過ぎます! 一体、どんな魂胆があるんですか?」

 胸にたまっていた事を全部吐き出してスッキリした。
 どう先生? 何て反論する? 私の反応を見て楽しんでいたって白状する?

 私だって美人だ、魅力的だって言われて、鵜呑みのにする程、世間知らずじゃないんだから。それに半月、先生と一緒にいて私に綺麗だとか、魅力的だとかって言うような人じゃない事もわかっている。先生の言葉には必ず何か裏があるはず。

「あの、何か言って下さい」

 なんで先生、不機嫌そうな顔をして黙っているの? 私に手の内がバレて悔しいとか? あ、先生の表情がどんどん沈んでいく。しかもちょっと悔しそう。だけど、目が合うと先生が嬉しそうな顔をする。何、その表情は?
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