先生と私の三ヶ月
「ガリ子、お前の簡単に流されない所はいいな。お前は周りの顔色ばかり見て来たと言っていたが、ちゃんと、おかしいと思った事をおかしいとハッキリと言える奴だよ。自分の頭でちゃんと考えて行動できる奴だよ」

 もしかして今、褒められているの? それとも誤魔化されている?

「先生、私に優しくする理由の答えになっていないと思うのですが」
「言っただろう。好きな奴には優しくなるって」

 好きな奴――。

 キュンって胸に響いた。

 いや、真に受けちゃダメ。こんな事で心拍数あげちゃダメ。先生は私の反応を面白がっているだけなんだから。本気にしたらバカを見る――そう、ちゃんとわかっている。先生が好きだと言ったのは人間としてとか、そういう意味だ。異性として、女性として私をという意味じゃない。

 なのに、顔に熱が集まってくる。速くなった鼓動の音がうるさい程、全身で鳴っている。先生の言葉に頬が緩む。

 好きって言葉が嬉しい。

 窓の外に見える瑠璃色の海に向かって駆けだしたいぐらい。
< 102 / 304 >

この作品をシェア

pagetop