先生と私の三ヶ月
【Side 望月】

 流星の事で謝ろうと思っていたのは俺も同じだった。
 事情を知らないガリ子に俺はつい感情的になって厳しい言葉をぶつけた。あの時、ガリ子が言った通りで、流星の事をきちんと話していなかった俺が悪かった。ガリ子はちょっとおせっかいだっただけだ。

 俺から謝ろうと思っていたが、先に謝られてしまった。俺も悪かったと言えれば良かったが、また俺らしくないと疑われそうなので言葉を飲み込んだ。――ったく、ガリ子は俺の事を一体、どんな奴だと思っているのか。きっと悪い印象しかないんだろうな。俺のワガママに振り回されているから当然と言えば、当然だが。

 振り回している《《理由》》を話したら、ガリ子は俺を軽蔑するだろう。
 契約が終わる時には、間違いなく俺はガリ子に嫌われている。それも覚悟の上で始めた事だったが……なぜか胸が痛む。

「先生、では、行ってまいります!」

 デジカメを受け取ったガリ子が嬉しそうにホテルを出て行った。俺の出した注文に嫌な顔一つしない所が何だか可愛い。

 さてと、昼まで寝るか。
 昨夜はガリ子のピンクのネグリジェが頭の中をちらついて一睡もできなかった。あれはヤバかった。もう少しで手を出す所だった。

 ガリ子の旦那が、あのダサダサ眼鏡を付けさせているのは、きっと男除けだ。ガリ子は全く自分の魅力に自覚がないが、あいつは女として魅力的だ。美しい綺麗な顔立ちをしているし、スタイルもいい。ダサダサ眼鏡を外して着飾れば、注目の的になるだろう――という事をわからせたいが、いくら言ってもガリ子は認めない。かなりの悪い魔法がかかっている。その魔法を俺が解いてやりたいが……。

 部屋に戻り、ゴロンとベッドに横になるとチノパンのポケットにしまってあったスマホが鳴った。
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