先生と私の三ヶ月
ガリ子が出て行ってからは、自分でも驚く程、気持ちが沈んだ。
これで恋愛小説の話はなしだ。俺は引退すると黒田に言って逃げるようにフランスに行ったが、最後の希望のようにガリ子が現れた。くすぶっていた想いに火がつき、俺はガリ子を書きたくなった。
それまでのプロットを捨て、ガリ子がより魅力的に見える設定にする為、独身だったヒロインを既婚者に変えた。
ヒロインは夫に愛されず自信を失った真面目な女。だが、そんな事は周囲に見せず夫と円満でいるふりをする。ある日、11差年上の男と出会う。その男はヒロインの夫が自分の妻と浮気している事をつきとめ、ヒロインに会う。
ヒロインは男から夫が浮気をしている事を告げられる。そして男と一緒に何とか浮気している2人を別れさせようとするが、ヒロインと男は恋に落ちる。男の言葉に勇気をもらい強くなっていくヒロイン。妻を取り戻したくてヒロインに近づいたはずなのに、ヒロインに心を動かされてしまう男。
二人は互いに強く惹かれ合いながらも、踏みとどまろうとする。結婚している身で体の関係を持つ事は浮気している妻や夫と同じ事になるからだ。体の関係にさえならなければ、二人で会う事に問題はないという結論にいたるが、降り積もる雪のように想いを募らせていく二人……。
二人が一線を超えて一緒になるのか、別れるか。その辺りの事はまだ決めていない。
小説の中の二人の想いを成就させてやりたいが、関係を持った後の展開が読めない。ガリ子はどうするだろう? 結婚していながら俺と関係を持ったとしたら……。
真面目なガリ子は離婚をするだろうか。それとも何くわぬ顔で、旦那の所に帰るのか。いや、その前に俺を拒否しそうだ。恋人になってくれと言ったが、ガリ子の気持ちが俺にあるのかはわからない。ガリ子はアシスタントの仕事の一つとしてその役割を出来る範囲で引き受けているだけなのだから。
いつも俺は片思いだな。
「先生、9月30日以降も葉月さんをそばに置いてはどうですか?」
黒田が真面目な顔をしてこっちを見た。
これで恋愛小説の話はなしだ。俺は引退すると黒田に言って逃げるようにフランスに行ったが、最後の希望のようにガリ子が現れた。くすぶっていた想いに火がつき、俺はガリ子を書きたくなった。
それまでのプロットを捨て、ガリ子がより魅力的に見える設定にする為、独身だったヒロインを既婚者に変えた。
ヒロインは夫に愛されず自信を失った真面目な女。だが、そんな事は周囲に見せず夫と円満でいるふりをする。ある日、11差年上の男と出会う。その男はヒロインの夫が自分の妻と浮気している事をつきとめ、ヒロインに会う。
ヒロインは男から夫が浮気をしている事を告げられる。そして男と一緒に何とか浮気している2人を別れさせようとするが、ヒロインと男は恋に落ちる。男の言葉に勇気をもらい強くなっていくヒロイン。妻を取り戻したくてヒロインに近づいたはずなのに、ヒロインに心を動かされてしまう男。
二人は互いに強く惹かれ合いながらも、踏みとどまろうとする。結婚している身で体の関係を持つ事は浮気している妻や夫と同じ事になるからだ。体の関係にさえならなければ、二人で会う事に問題はないという結論にいたるが、降り積もる雪のように想いを募らせていく二人……。
二人が一線を超えて一緒になるのか、別れるか。その辺りの事はまだ決めていない。
小説の中の二人の想いを成就させてやりたいが、関係を持った後の展開が読めない。ガリ子はどうするだろう? 結婚していながら俺と関係を持ったとしたら……。
真面目なガリ子は離婚をするだろうか。それとも何くわぬ顔で、旦那の所に帰るのか。いや、その前に俺を拒否しそうだ。恋人になってくれと言ったが、ガリ子の気持ちが俺にあるのかはわからない。ガリ子はアシスタントの仕事の一つとしてその役割を出来る範囲で引き受けているだけなのだから。
いつも俺は片思いだな。
「先生、9月30日以降も葉月さんをそばに置いてはどうですか?」
黒田が真面目な顔をしてこっちを見た。