先生と私の三ヶ月
※※※

 太陽がさんさんと輝く空の下、午後は庭でビニールプールを広げて、流星君と水遊びをした。ガリ子も一緒にと言われて、ジーパンを膝の上まで捲り上げてプールに入った。水が冷たくて気持ちいい。真奈美さんが大きな水鉄砲を流星君と私に向けて、水のかけあいになった。Tシャツがずぶ濡れになったけど暑かったから丁度いいぐらい。

 真奈美さんは気さくな人だ。今日会ったばかりの私に親しみのある笑顔を浮かべてくれる。

 水遊びの後はパラソルの下に椅子を置いて、アイスを食べた。

「夏を満喫したわね」
 隣に座る真奈美さんが言った。
 流星君はまだビニールプールで遊んでいる。

「葉月さんがいてくれて良かった。お兄ちゃんのあんなに穏やかな顔を見たのは久しぶり」
「先生、何か悲しい事があったんですか?」
 出会った時から先生の中には大きな悲しみがあるみたいで、ずっと気になっていた。

 真奈美さんがため息をついた。

「元奥さんがね、亡くなったの。亡くなってからこの八月でもう四年になるのよ」
 知らなかった。だから先生は悲しそうなんだ。

「葉月さん、この話に興味ありそうね」
「はい。アシスタントとして先生をお支えしたいから知りたいです」
「お兄ちゃんの元奥さんを私は“ひなちゃん”って呼んでいた。私たち幼なじみだったの」
 それから真奈美さんは先生と元奥さんの話をしてくれた。
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