先生と私の三ヶ月
 チュッ。

 思い切って麗しい頬に短くキスをした。
 先生の肩が小さく震え、笑い声が聞こえる。

 あれ? 何か違った?

「今のは胸にキュンと来たな」
 褒められたみたいで嬉しい。

「キュンとしました? じゃあ、こういうのは?」
 調子に乗って、私も先生の背中に腕を回して、甘えるように頬を先生の頬にすりすりとくっつけた。

「バカ。あまりそういう事をするな」
 弱々しく先生の声が響いた。

「我慢できなくなるだろ」
「我慢?」
「ガリ子に本気のキスをしたくなる」
 至近距離で先生と目が合って、また鼓動が速くなった。

「せ、先生、冗談ですよね?」
 先生の人差し指が私の唇に触れた。

「ここに思いっきりキスしたい。ゆっくりと唇でお前の柔らかな唇をなぞって、お前の口の中に舌を差し込んで、舌を絡ませたい」
 先生に深くキスされている所をありありと想像してしまった。先生の言葉にドキドキする。

「それからお前の白い首にもキスして、お前のTシャツを脱がせて、鎖骨と胸にもキスしたい」
 今度は先生の人差し指が首筋をスーッと撫でる。たったそれだけの事なのに、先生に首筋をキスされているみたいで、触れられた部分が熱くなる。

 こんなのいけないと思いながらも、もっと先生の言葉を聞きたい。先生にTシャツを脱がされたあとは……。

 じっと先生を見つめると、先生も熱い瞳で私を見つめ返した。
 急に先生との間にある空気が濃くなった気がする。

 絡まる視線。熱くなっていく体。乱れる鼓動。
 今、先生に求められたら、抗えない。

 現実に引き戻すように机の上の先生のスマホが鳴った。
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