先生と私の三ヶ月
 いつ眠ってしまったんだろう。
 目を開けると隣に純ちゃんが眠っていて、私たちは服を着ていない。

 血の気が引いた。

 なんでこんな事に?

 昨夜は純ちゃんと家に帰って来て、うどんを作ってあげて、一緒に食べて、純ちゃんが上海から買って来たお酒を少しだけ飲んで、それから……。

 何も思い出せない。
 まさかあのお酒に睡眠薬とか?

 それで私を抱いたの?

「今日子、何時?」
 純ちゃんが目を開けた。
 ベッドから飛び出そうとしたら抱きしめられた。
 純ちゃんと密着した素肌が居心地が悪い。前はそんな事なかったのに。

「どうしたんだよ。昨日はあんなに愛し合ったのにつれないな」
 純ちゃんが頬にキスをした。

「私、何も覚えていない」
「そうなのか? 今日子から僕を誘ったんだぞ」
「嘘」
「嘘じゃない。僕が無理矢理したと思っているなら、思い違いだぞ」
「嘘。絶対そんな事ない!」
「今日子、怖い顔するなよ。これで僕たち元通りの夫婦だろ」
「何言ってんの! 放して!」
 純ちゃんの胸を叩いて、ベッドから飛び出た。
 それから床に落ちている服を拾い集めて部屋から出た。

 胸が引き裂かれたみたいに痛い。

 私は絶対に誘っていないし、誘う訳がない……。
 抱かれたい人は純ちゃんじゃないんだから。

 信じられない。
 純ちゃんが私を体で繋ぎ止めようとするなんて。

 もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。
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