先生と私の三ヶ月

「な、何言ってるんだ。今日子。何か勘違いしていないか？」
　わずかに震えた声で純ちゃんが反論した。

「何を勘違いしているというの？」
「佐伯さんとは一緒に仕事をしているが、それ以上のつながりはない。彼女が一方的に僕の事を好きだっただけだ。彼女の言った事は全部嘘だ」
　
　呆れる。この人はここまで言っても認めないんだ。

「僕が好きなのは今日子だけだ。浮気はしていない」
「最低だね。純ちゃん」
「今日子、僕の言葉が信じられないのか？」
「恵理さんにフラれたから、必死に私にすがっている訳？　それとも私には嘘をついて平気なの？　少しも胸が痛まないの？」
「今日子、僕は嘘なんかついてない」
「恵理さんの前でも同じ事言える？」
「えっ……」
　立ち上がって、後ろの席に向かって手を挙げた。
　水色のワンピース姿の恵理さんが席を立ち、私たちの前に来る。

「葉月さん、お久しぶりです」
　恵理さんが純ちゃんにお辞儀をした。

「私は全部、奥様に話しました。証拠の写真もあります。葉月さんが認めないというのなら、それを奥様に提出します」
　毅然とした恵理さんの言葉に純ちゃんが項垂れた。

「葉月さん、奥様にちゃんと謝罪して下さい」
「君は何の権利があって人の家庭を壊そうとするんだ？　僕の知らない所で妻に会うなんて卑怯だ。僕も君のご主人に同じ事をしようか？」

　純ちゃんが恵理さんを睨んだ。