先生と私の三ヶ月
「尊敬しているだけ? 男性としての魅力は感じないの?」
 真奈美さんの質問に頬が熱くなる。

「もちろん。男性としても魅力的だと思っています。でも今は、そういうのは考えられないというか。目の前の日々を生きているだけでやっとというか」
 そうねと、真奈美さんがコーヒーカップに視線を落とした。

「私も離婚したばかりの時はもう恋愛なんかしないって思ったな。私の場合はいきなり離婚届と手紙を置いて夫が出て行っちゃったんだけどね。今思うと私に直接離婚したいって言えなかったんでしょうね。気の小さい男だったのよ」
 真奈美さんが笑った。

「でもね、男で傷ついたら、癒してくれるのも男なのよ。私はそうだった。臆病にならないで、新しい恋に飛び込んでみたら? お兄ちゃんのこと好きなんでしょう?」
 真奈美さんはパワフルな人だな。まだ私はそこまで達観できないや。
 先生の事は好きだけど、アシスタントとしての今の距離が丁度いい。

「真奈美さんは新しい恋しているんですか?」
「もちろん」
 うふっと微笑んだ顔が幸せそうに見えた。
 私も真奈美さんのように笑える日が来るのかな。
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