先生と私の三ヶ月
「先生、高速乗るの?」
 道を見ていると車は高速道路の入り口に入った。
 
「少しだけな」
 私とは違って慣れた感じで合流する先生がカッコイイ。
 向かった先は東京とは反対の方向。横浜デートだと思っていたけど、違ったみたい。

 カーナビのディスプレイを見ると、車は首都高速神奈川3号狩場線というのを進んでいるよう。
 先生はナビを使っていないから目的地が全然わからない。
 一体どこに行くんだろう?

 でも道が空いていて気持ちいい。
 窓の外には青空が広がっていて、絶好のドライブ日和。

 先生の運転は静かで安心感がある。
 ハンドルを握っている大きな手がなんかカッコイイ。
 鼻筋の通った横顔もいいな。見れば見るほど先生の顔が好き。顔だけじゃないな。大きな手も、肩も、胸も、話し声も、甘い匂いも、全部が好き。

 こんなに好きな人が隣で運転してくれているなんて幸せ。
 幸せ過ぎてにやけちゃう。

「ご機嫌なようだな」
 ちらっと先生が私に視線を向けた。

「だってデートですもの。先生もご機嫌ですか?」
「もちろん。隣に好きな女がいるからな」
「す、好きって……」
 ボッと頬が熱くなった。
 赤くなって俯いていると、先生が賑やかに笑った。
 また先生にからかわれた気がする。
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