先生と私の三ヶ月
 一の鳥居をくぐると広々とした鶴岡八幡宮の境内があった。太鼓橋の先の右手側には源氏池、左手側には平家池があった。

 まずは源氏池の方に先生と向かう。源氏池の中には弁財天が奉ってある旗上弁財天社があった。その名前の通り社殿の周りには源氏のシンボルの白旗が沢山立っている。この場所は源頼朝の軍隊が戦勝祈願をした場所としても知られていると先生に教えてもらった。

 社殿の裏まで行くと大きな石が二つ並んで奉られていた。これが北条政子を奉った政子石らしい。夫婦円満の祈願石と聞いて思わず苦笑する。

「夫婦円満か。私にはもう関係ないですね」
 純ちゃんの本性を知る前の私だったら必死に拝んでいそう。

「俺たちは夫婦じゃないが、一緒に拝まないか?」
「えっ」
「お前とこの先も円満でいられるようにお願いしたいんだ」
 先生と目が合ってドキッとした。
 大好きな先生にそんな風に言ってもらえて嬉しい。

 先生とのこの先……。
 9月30日以降の私たちはどうなっているんだろう。

「ほら、祈るぞ」
 先生がお賽銭を入れて、手を合わせた。
 私も同じように手を合わせた。

 どうか、この先も先生の隣にいられますように――。
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