先生と私の三ヶ月
 午後4時。海が見たいという私のリクエストに応えて、先生が車で由比ヶ浜まで移動してくれた。

 浜辺を先生と散歩した。
 私たちの他にも散歩している人たちがいる。年配の夫婦らしき人たちや、犬を連れて歩く人や、子どもを連れた家族連れがそれぞれ楽しそうに浜辺を歩いていた。

「サーフィンですかね」
 海を見るとサーフボードの上に乗る人たちの姿があった。

「昔やったな」
 瞳を細めて先生が海を眺めた。
「先生、サーファーだったの?」
「二十代の頃の話だ。一日中、海に出てサーフボードに乗っていた時があった。モテたくて始めたんだけどな」
 意外、普通にしているだけでカッコイイのに、先生でもモテたいと思うなんて。
「なんだその目は。動機が不純だから軽蔑しているのか?」
 じっと先生を見ていると目が合った。
「軽蔑してませんよ。ただ意外過ぎて。先生って普通にモテると思うんですが」
「確かに言い寄られる事もあるが、不思議と好きな子は全く言い寄って来ないんだ」
 なぜか先生が恨めしそうな目でこっちを見る。
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