先生と私の三ヶ月
 手術後二日間は絶食となり、三日目から食事をする事が出来た。
 手術から三日経つのに、今日子は病院に来ない。

 心配で電話をしてみると、今日子は風邪をひいたと言った。俺にうつすのが心配だから病院にはいけないと言われて落胆した。

 身の回りの世話は真奈美と黒田がしてくれた。
 今日子にたった3日会わないだけで、恋しくて堪らなくなった。今日子に会いたいと電話でだだをこねると、すぐに会えますよと笑われた。

 今日子は俺に会えなくて寂しくないのだろうか。電話越しの今日子があまりにも素っ気なくて寂しい。

 気のせいかもしれないが、今日子との間に心の距離が出来た気がした。

 心配事はそれだけじゃない。

 今日子はまだ俺との契約を更新していない。
 9月30日以降もアシスタントとして俺の仕事を支えてくれると思っていたが、契約の話になると、今日子は今度話しますと言って電話を切った。

 電話の後、胸騒ぎがした。
 もう二度と今日子と会えない気がして不安になった。

 考え過ぎだろうか。
 
 スマホを置いてため息をついた時、病室のドアが開いた。

「望月先生、おかげんはいかがですか?」
 大きな花束を持ったグレーのスーツ姿の女だった。
 一瞬誰かわからず首を傾げた。

「酷い! 先生。もう私の事忘れたんですか。先生のアシスタントを3日でクビになった上原流美ですよ」
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