先生と私の三ヶ月
 舌を差し込むと先生も絡ませてくれる。営みは自然と濃厚なものになる。
 パジャマ越しに大きな手が私の胸をまさぐり始める。
 長い指が胸の先端に触れた時、声にならない声が漏れた。
 スイッチが入ったように下腹部が熱くなり、どうしようもなく先生が欲しくなる。
 病み上がりの先生に無茶をさせてしまうと思いながらも、「先生が欲しい」という欲求が声に出た。

「俺も今日子とつながりたい。だが、これで我慢してくれ」
 下腹部に触れていた先生の手がパジャマのズボンの中に入り、下着の上から敏感な部分を撫で始めた。焦らすように入り口の辺りを行き来していたかと思うと、指が直接その部分に触れた。

「もう濡れてる」
 耳元でゾクッとする程、艶のある先生の声がした。

「先生、なんとかして」
「ああ、そのつもりだ」
 私の下半身から全ての衣類を取り、両足を大きく開かされた。蜜で溢れた場所が露わになり、先生はその場所に唇を寄せる。熱い舌を感じた瞬間、甘い刺激が全身を貫き、腰が浮く。気持ち良くて、恥ずかしくて堪らない。こんな風に先生にされるなんて。

 先生の舌と長い指が敏感な部分を刺激し続け、私はすぐに絶頂に達した。
 身体中から力が抜け、ベッドに沈むと、先生が嬉しそうな顔で見つめる。

「今日子、気持ち良かったか?」
「はい」
「抜糸が済むまでこれで我慢してくれ」
 そう言った先生がどこか悲しそうだった。
 やっぱり私を愛していないから、こんな事をするのが嫌なんだろうか。そう思ったら胸が潰れそうな程苦しくなった。

 苦しさから逃れるように、またキスをした。すぐにキスが深くなって、先生が吐息のような声をあげた。

 先生の下半身に触れると、それは硬くなっていた。
 心がなくても先生の身体が私を求めてくれている。身体だけの関係でもいいから、先生をつなぎとめたい。硬くなった先生の部分を手で愛撫をすると、先生が短い声を上げた。
 
「してくれるのか?」
 先生の問いかけに頷き、時間をかけて先生を愛した。
 私のたどたどしい愛撫に応えるように先生がああ、という吐息交じりの声をあげ、熱い物を放出する。

 先生が満足したように私を抱きしめた。
 乱れた先生の呼吸を聞きながら、急速に心が冷えていく。

 なんて、むなしいのだろう。

 先生にとって、これはただの性欲を満たすだけの行為なんだ。
 私を愛しているわけではないんだ。
 
 こんなに愛しているのに私の心は先生に届かない。
 そう思ったら、悲しくなってくる。

 先生と一緒にいるのが苦しい。でも、一緒にいたい。
 矛盾した想いに心が引き裂かれそうになった。
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