先生と私の三ヶ月
 朝はあっという間に来た。
 明け方まで私を抱いていた先生は隣でぐっすり眠っている。

 先生を起こさないようにベッドから抜け出し、寝室を出た。

 家を出る準備は先生の入院中に終わっていた。
 今、私の部屋に残っているのはボストンバッグ一つ分の荷物しかない。
 部屋に残したのは先生に買って頂いたネックレス、靴、ワンピースに、鎌倉で買ってもらったお土産。
 持って行くには思い出が強過ぎて残していく事にした。

 ジーパンと長袖のTシャツ、その上にロング丈のカーディガンを着てボストンバッグを持って部屋を出た。

 玄関ホールに出るとステンドガラスに朝陽が射していて、玄関ホールの床がキラキラと輝いていた。
 こんなに綺麗な眺めがあったのかと、今さら気づいた。
 毎日見ていたはずなのに気づかなかった。

 ふと、先生と一緒になる未来はあったのだろうかと思った。
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