先生と私の三ヶ月
「先生、あの、まさか、先生のお子さん?」
「今夜はカレーにしよう。材料はあるか?」
「えーっと、まだ夕飯の買い物はしてなくて」
「じゃあ、帰りにスーパーに寄るぞ。今度は流星がいるから絶対に安全運転をしろよ。それから今夜は流星が泊まるからな」

 全く人の話を聞いてない。まさかワザとやっているの? 流星くんの事は堂々と口に出来ないような子なんだろうか。例えば昔の恋人との子とか、人妻との間に出来てしまった子とか……。

 そんな事を考えていたら流星くんが帽子と鞄を持って幼稚園の先生らしきピンクエプロンの女性と戻って来た。

「お迎えご苦労さまです。サインお願いします」
 ピンクエプロンの女性は何かの紙を先生に差し出した。

「いつも流星がご面倒をかけております。今日はどうでしたか?」

 紙にサインをしながら先生がピンクエプロンの女性と話し始める。時折柔らかな笑みを浮かべながら談笑している姿がなんか素敵。言葉遣いも丁寧で頼りがいのある紳士って感じだし。

 ワガママで自分勝手な先生でも保護者みたいな対応ができるんだ。
 私には最初からそんな対応なかったけど。初めて会った時から、失礼な感じだったし。

 私って、先生に雑に扱われているのかな。
 先生の方を見ていると、いきなり目が合った。
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