先生と私の三ヶ月
 顔から火が出る程、恥ずかしいとは、こういう状況を言うのかも。身に着けていた物を全て脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。一刻も早く自分の身体についた汗の匂いを洗い流したい。

 バスルームにはホテルの物だと思われるアメニティグッズが置かれていた。薔薇の香りがするボディーソープ、シャンプー、リンスを使い、全身をよく洗った。これで多分、匂わない。

 洗い終わった後はバスタブにお湯をはって、あたたかいお湯に浸かった。ほっとする。少しだけ気持ちに余裕が出て来た。手足を伸ばしながら、ここのバスタブが意外と大きい事に気づいた。これなら先生が入っても足が伸ばせそう。

 先生――。
 その単語を脳内で再生しただけで頬に熱が集まる。いくらなんでも意識し過ぎ。私はどうかしちゃったんだろうか。これはもしやストレス? 慣れない外国で予想外の事ばかり起きたから、きっと疲れているんだ。もしかして、先生が私の事を好きだと言ったのもただの聞き違い? ――ありえる。今の私なら。

 良かった。勘違いしてもう少しで先生に私の事好きなんですかって聞いちゃう所だった。危ない、危ない。そんな事言ったら、先生にバカにされる。私は学級委員のガリ子なのよ。先生がこんなつまらない女に興味を持つ訳ないじゃない。もう、いやだな。全く。

 なんか、悲しくなって来た。

 そろそろ出よう。
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