先生と私の三ヶ月
 何、これ……。

 バスタオルで体を拭いた後、紙袋を開いた。中から出て来たのは値札がついたままの新品の物と思われる水色のブラジャーとショーツ。まあ、これはいい。その後、手に取ったのはピンク色レースのネグリジェ。半袖パフスリーブがいい具合にお姫様感を醸し出していて、私には幼すぎるデザイン。

 こんな可愛らしいの29歳の私が着ていいの?しかも、これを着て先生の前に出て行くなんて……。

 無理だ。恥ずかしすぎる。先生にからかわれる。
 他にないの? がさごそと紙袋の中を漁るけど、スキンケア用品以外は悲しいぐらい何もない。誰だ。こんな可愛いネグリジェを選んだのは!

 こうなったら、また同じ服で……いや、さすがにちょっと匂う。

 仕方ない。これを着るか。
 値札を素手でブチッと取って、新しい下着とネグリジェを身に着けた。

 鏡に映るピンク色の自分に苦笑しかない。
 昔からこういう可愛らしい物は遠ざけていたけど、正解だ。全く似合わない。

 はぁ。人生終わった。
 きっと、しばらく先生にネグリジェねたでいじめられる。

 意を決してバスルームから出ると、先生は机に向かい、何かを書いているようだった。

「あの、お風呂、先にいただきました」
 思い切って声をかけると、先生がこちらを向き、穴が空きそうな程、じーっと私を見つめた。
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