先生と私の三ヶ月
 先生の視線が痛い。おかしいならおかしいと言えばいいのに。黙って見ているだけなんて拷問だ。

 言葉を失う程、この格好が変?
 膝丈のネグリジェから足、出ているし。いつもジーパンだから先生の前でスカートとか、ワンピースは着た事がない。もしかして私の足、太い? 大根みたい?

 もじもじしていると、先生が近くまで来た。先生の手が私の顔に伸びて――いきなり眼鏡を取られた!

「ちょっと、先生!」
 裸眼でも日常生活に困らないぐらいに見えるけど、やめて欲しい。
 眼鏡のない顔を見られるのは恥ずかしい……。

「これで違和感はなくなった」
「はあ?」
「この眼鏡は凄いな。身に着けている人間の魅力を全て殺すな」
「ダサいって事ですか?」
「かなりな。お前さ、この眼鏡、まさかと思うが学生時代から使ってるのか?」
「高校生の時から使っていますが」
「垢抜けないデザインなのはそういう事か。お前の旦那、何も言わないのか?」
「物持ちがいいと誉められますが。何かいけないんでしょうか? 高校時代から視力が落ちていない事は一応、私の自慢ですけど。そんな事より、眼鏡返して下さい」
 手を伸ばすと先生が器用に避ける。
「返して」
「やだ」
「ふざけないで下さい」
「じっとしてろ」
「はあ?」
「お前の顔が見たいんだ」
 なぜ? 私の顔に何かついてるの?
「うーん」
 先生が腕を組んで考えるようにじーっとこっちを見つめる。
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