春待ち遠し〜短編集〜
…高校1年の頃。初めての会話を武司は思い出す。
『タケシくんって名前なんだ。あたしは優子、ヨロシクネ』
『おぅ…』
周りをキョロキョロ見渡す優子
『はぁ』
ため息をつく優子。
『どうしたの?』
『タケは何中?』
『えっ。北中だけど…てかタケ…って俺の事か?』
『だって、タケはタケでしょ?あ〜あ、アタシ中央中だけど、知り合いが同じクラスに誰もいない』
なんてマイペースな娘なんだろうとおもった。
『タケは同じ中学の友達クラスにいる?』
武司をマジマジとみる優子。
『居酒屋の息子が一人いるよ』
武司の視線の先に康夫がいる。