例えば今日、世界から春が消えても。
てっきりプレゼントは購入品だと思っていたのに、こんなに素敵な手作りのプレゼントを貰えるなんて目から鱗だ。


思ってもみなかったサプライズに泣きたくなるのをぎゅっと堪えた僕は、さくらにも見えるようにしながら表紙を開いた。


1番最初のページに貼られていた写真は、

「ふふっ…何でこれにしたの」

あろう事か、初デートの際に散々弄られた、僕が遊園地の入場ゲートの前で間抜けな顔をしている例の写真だった。


「いや、私達と言えばこれでしょう」


「他にもっとまともな写真あっただろうに…」


でも、こうして笑いのツボにはまってしまうような絶妙な写真を選ぶあたり、さすがさくらと褒めたくなる。


写真の下には、その写真を撮った日付と一言メッセージ、そして元美術部の腕を生かした微笑ましいイラストが添えられていて。


例えば、1枚目の写真の下には、

『7月23日(土)
冬真君との初デート。偽の恋人として行った遊園地はとても楽しかった!沢山笑わせてくれてありがとう!』

というメッセージが書かれている。


その文字を目で追いかけた僕は、どんどんとページを捲っていった。


アルバムの写真は、僕達の軌跡を辿るように時系列順に貼られていた。
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