例えば今日、世界から春が消えても。
僕の提案に大きく息を吐いて頷いた彼女は、ずるずると僕の肩に自分の頭を乗せた。
ベンチは木陰に置かれているから、真夏なのに風が涼しく感じる。
ワンピースをはためかせるさくらと、半袖に長袖の羽織りを着た僕。
対称的なこの服装も、この木陰の中なら気にならない。
「でも、楽しかったね」
彼女がしみじみと吐き出したその言葉に、異論はなかった。
遊園地に行くのは物心がついてから初めてだし、デート自体も初めて。
でも今、僕の心は楽しいという気持ちで満たされている。
さくらに振り回されてばかりで、僕自身自分があんなに叫ぶなんて思っていなかったけれど、
一緒に此処に来た相手が彼女だから、僕はこんなにも幸せな気持ちになっているのだと思う。
「見て。沢山、写真撮ったの」
疲れて完全に休憩中の雰囲気を醸し出しているさくらは、自分のスマホのカメラロールを開いて僕に見せてきた。
「これ、入場の時の冬真君ね。お気に入り登録しておいた」
「今すぐ消して」
「やだ」
画面に映る、間抜けな顔をしてカメラを見つめる僕の写真を撫でたさくらはふふっと笑みを零す。
「次。チュロス買ってる時の冬真君」
レジに並んでいる時の僕、2人分のチュロスを持って笑顔の僕、さくらに無理やりチュロスを口の中に入れられて顔を顰める僕。
ベンチは木陰に置かれているから、真夏なのに風が涼しく感じる。
ワンピースをはためかせるさくらと、半袖に長袖の羽織りを着た僕。
対称的なこの服装も、この木陰の中なら気にならない。
「でも、楽しかったね」
彼女がしみじみと吐き出したその言葉に、異論はなかった。
遊園地に行くのは物心がついてから初めてだし、デート自体も初めて。
でも今、僕の心は楽しいという気持ちで満たされている。
さくらに振り回されてばかりで、僕自身自分があんなに叫ぶなんて思っていなかったけれど、
一緒に此処に来た相手が彼女だから、僕はこんなにも幸せな気持ちになっているのだと思う。
「見て。沢山、写真撮ったの」
疲れて完全に休憩中の雰囲気を醸し出しているさくらは、自分のスマホのカメラロールを開いて僕に見せてきた。
「これ、入場の時の冬真君ね。お気に入り登録しておいた」
「今すぐ消して」
「やだ」
画面に映る、間抜けな顔をしてカメラを見つめる僕の写真を撫でたさくらはふふっと笑みを零す。
「次。チュロス買ってる時の冬真君」
レジに並んでいる時の僕、2人分のチュロスを持って笑顔の僕、さくらに無理やりチュロスを口の中に入れられて顔を顰める僕。