あなたの妻になりたい
開かずの扉から出てきたのは、ヨタヨタと歩く小さな青碧色の飛竜だった。飛竜の背丈はマイリスの膝下くらい。小さいけれど、でっぷりとしていて、だから歩く姿がヨタヨタとしているのだ。
マイリスはソファから立ち上がって飛竜へとゆっくりと近づいた。これはまだ子供の竜、つまり子竜だ。
マイリスは夕焼けの空を舞う飛竜の姿が好きだった。その姿を目にすることができた日は、勝手に「今日はいい日」と思っていた。空を舞う飛竜は、どこか高貴でそして儚げだった。飛竜は、何を思って空を飛んでいるのだろう、と。そう思ってしまうほど。
飛竜のように、自分も自由に空を飛び回ることができたのであれば、という思いもどこかにはあった。
だけど空を舞っているあの飛竜は大人の飛竜。つまり成竜。
一度だけ、飛竜はどこにいるのかをランバルトに尋ねたことがあった。そのとき彼は「王城にいる」とだけ答えた。
もしかしてこの子竜は、あの大きな飛竜の子供なのではないだろうか。もしかして、迷子、いや迷竜なのでは、という考えがマイリスの頭の中を駆け巡る。
「どうしたの? あなた。迷子になったの?」
ヨタヨタと歩く姿が可愛らしくて、マイリスは膝を折ると子竜に腕を伸ばした。その子竜は人懐こいのか、マイリスの方にヨタヨタと歩いてきてその腕の中にすっぽりと収まってしまう。
マイリスはソファから立ち上がって飛竜へとゆっくりと近づいた。これはまだ子供の竜、つまり子竜だ。
マイリスは夕焼けの空を舞う飛竜の姿が好きだった。その姿を目にすることができた日は、勝手に「今日はいい日」と思っていた。空を舞う飛竜は、どこか高貴でそして儚げだった。飛竜は、何を思って空を飛んでいるのだろう、と。そう思ってしまうほど。
飛竜のように、自分も自由に空を飛び回ることができたのであれば、という思いもどこかにはあった。
だけど空を舞っているあの飛竜は大人の飛竜。つまり成竜。
一度だけ、飛竜はどこにいるのかをランバルトに尋ねたことがあった。そのとき彼は「王城にいる」とだけ答えた。
もしかしてこの子竜は、あの大きな飛竜の子供なのではないだろうか。もしかして、迷子、いや迷竜なのでは、という考えがマイリスの頭の中を駆け巡る。
「どうしたの? あなた。迷子になったの?」
ヨタヨタと歩く姿が可愛らしくて、マイリスは膝を折ると子竜に腕を伸ばした。その子竜は人懐こいのか、マイリスの方にヨタヨタと歩いてきてその腕の中にすっぽりと収まってしまう。