あなたの妻になりたい
「抱っこしてもいいのかしら?」
 子竜が嫌がっているようには見えない。マイリスはぬいぐるみを抱き締めるように子竜を抱き上げた。

「鱗だから冷たいのかと思ったら、温かいのね。あなた」

 マイリスは子竜の顔に頬ずりをすると、子竜を抱きかかえたままソファの方へと移動する。

 ソファに座り直したマイリスは、膝の上に子竜を座らせた。子竜が礼儀正しくちょこんと座っている姿が、可愛らしい。
「あら? あなた。あの時の子に似ているわ」
 ちょこんと座った姿を見て、マイリスは思い出した。

 あの時の子――。
 それはマイリスが五歳の時に出会った子。

 今から十年以上も前の話――。
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