あなたの妻になりたい
「本当にすまない。全部、俺のせいだ。俺の方こそ、君に嫌われていると思っていたから。まだ幼い君を、無理矢理、あの国から連れ出してしまったから……」

 申し訳なさそうに彼は言葉を続けた。
 ランバルトは、年も年だけに早く仮妻を娶るようにと周囲から口うるさく言われていたようだ。だが彼には心に決めた女性がいた。だから、それを正直に口にして、それを跳ねのけていたのだが、「だったら、その女性を仮妻にしろ」と言われる始末。
 しかし彼女はまだ幼い。十八になるまで待ちたい、というランバルトの言葉に周囲も渋々と納得する。

「ですが、どうしてランバルト様は私を?」
 今の話を聞く限りでは、彼が心に決めた女性というのが、マイリスになる。

「君は、何年か前に子竜を助けたことがあっただろう?」
 それは昨日、ランちゃんにも伝えたこと。

「はい」

「それが、俺だ」

「え」

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