あなたの妻になりたい
仮婚のうちに子を授からなければ、二人の縁はなかったものとされてしまう。そういった行為に及ばなければ、子など授かるわけもない。だから、仮妻が気に入らないときは子作りに励まなければいいのだ、と、誰かがこっそりと言っていた話を、マイリスは偶然聞いてしまった。
だから、自分もそうなのだと思っていた。
「うー、あー、まぁ、それはだな、その」
と、歯切れが悪いのは彼らしくもない。
「俺の方こそ、無理矢理君をこちらに連れてきてしまったし。その、君に嫌われているんじゃないかと思っていた。だから、二年経ったら、君を解放しようと、そう思っていた。この二年の間だけでも、好きな人と共に時間を過ごしたい、とそう思っていたから。だから、竜人族のことも、君には教えていなかった」
ランバルトは十年以上も前から、彼女に惹かれていた。当時、五歳であった彼女に。子竜の姿で出会ってしまったから、中身が成人を間近に控えた男性だったとしても、きっと感覚は彼女と同じ子供だったのかもしれない。
「ランバルト様は、夕焼けがお嫌いですか?」
「嫌いではない。だが、夕方は急に風が冷たくなる。君が風邪をひいたらどうしようかと、いつも思っていた」
だから彼は、早く部屋に戻れといつも言っていたのだ。
だから、自分もそうなのだと思っていた。
「うー、あー、まぁ、それはだな、その」
と、歯切れが悪いのは彼らしくもない。
「俺の方こそ、無理矢理君をこちらに連れてきてしまったし。その、君に嫌われているんじゃないかと思っていた。だから、二年経ったら、君を解放しようと、そう思っていた。この二年の間だけでも、好きな人と共に時間を過ごしたい、とそう思っていたから。だから、竜人族のことも、君には教えていなかった」
ランバルトは十年以上も前から、彼女に惹かれていた。当時、五歳であった彼女に。子竜の姿で出会ってしまったから、中身が成人を間近に控えた男性だったとしても、きっと感覚は彼女と同じ子供だったのかもしれない。
「ランバルト様は、夕焼けがお嫌いですか?」
「嫌いではない。だが、夕方は急に風が冷たくなる。君が風邪をひいたらどうしようかと、いつも思っていた」
だから彼は、早く部屋に戻れといつも言っていたのだ。