僕「だけ」の彼女
1 堕落
毎日毎日、同じことの繰り返しだ
いったい俺は、なんのために生きてるんだ
ガッ
「あ」
開けたドアにゴミが引っかかった。
「…くっそ、食べるものがないから仕方なくコンビニに行ってきたらこれだ…」
僕は玄関のドアを強引に押してなんとかドアを開け、家に入った。
そして、俺の手の中にある薬を見つめた。
〜数時間前〜
(あーぁ、外出たの久しぶり、眩しすぎ、目潰れる、まぁあんな散らかった暗い部屋に籠もってればそうもなるよな)
「こんなんで良いのか、」
???「あの!」
「…?誰ですか?」
???「お兄さん、彼女欲しいなーとか思ってません?」
「は?、いや、そういうのは」
???「こちらの薬!凄いんですよ!飲むだけで、あなただけの彼女ができちゃう!」
「……だからそういうのは良いんですって!」
???「まぁまぁまぁ、あなただけしか見ませんよ?本当にあなただけの彼女です」
「…俺、だけの?」
???「はいそうですよ?」
(、彼女、か…)
???「一週間分無料であげますから!ね?」
「あっ!や、ちょ!」
???「気にったらまた買いに来てください!ここにいるので(笑)」
「え、あぁ、」
いつからこんな弱くなったのか、俺はあの怪しい男からまんまと薬を貰ってしまったのだ。
…この薬のことが、本当なら、、
って何期待してんだ。こんなの嘘に決まってる。
もう寝よう。
………
ねぇ!まこと!すっごい綺麗だね!
あぁ、そうだね
次はどこ行くか?まぁまこととならどこでも楽しいけど!
え!?まだ行くの?
あったりまえ!wさ、行くよ!
あぁ!ちょっと!
「待って…!…?」
夢、か、なんでこんな夢。
優しくて可愛い彼女と水族館デート。
したかったな。
〇〇は一度もしてくれなかった。むこうから誘ってくることなんて勿論、誘っても行かないの一点張りだった。
俺も、俺だけの彼女が欲しかっ…あの薬!
「そうだあの薬!」
俺だけの彼女ができる…!
俺は昨日貰った薬に手を伸ばした、が、途中で手を止めた。
あいつの言うことが嘘で、ヤバい薬だったら?
…
「辞めよう」
俺は薬を飲むのを辞めた。かと言って、やることもないからもう一度寝た。
………
ねぇ、デート、行かない?
行かない。私用事あるからじゃぁね。
え、待って!
あ、ぇ?ま、って!
アハハwじゃぁね〜w
嫌!
「待って」?
夢…今度は前の彼女の夢。
「嫌だ嫌嫌!こんな夢…!あんな女!」
コロン…
薬の入った瓶が転がった。
「この薬が本当なら?」
ほん…とう…なら、、
逃げ出せるか…?
この堕落から。
あの過去から。
この闇から。
…別にやばかったって俺の人生こんな堕落のまま続けるのも意味ないし。
「賭けても良いか、、、」
薬を1錠手に取って、今さっき買ってきた水の入ったペットボトルの蓋を開けた。
薬を舌に乗せ、水を流し込んだ。
薬が流れていった数分後、
薄れゆく意識の中で、俺は思った。
(あぁ、これ、やばい…かも、な、)
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