夜と遊ぶ
一夜との関係は特に変わらず、クリスマスイブを迎えた。


いつか話していたような、ラグジュアリーホテルのプラチナスウィートルームを取ってくれていて、
ルームサービスでディナーを摂る。


ホテル側や他のお客さんに対しての配慮なのか、
一夜の護衛の人達は、部屋の中に居るけど。


スウィートのこの部屋がマンションの部屋並みにとても広くて部屋数も有り、それはそこまで気にならない。


慣れたのもあるのかもしれない。


一夜の自宅のマンションでも、一夜の部屋以外には常に誰かが居て、この人と完全な二人っきりになれる事なんて、
付き合ってから、一度もない。


クリスマスイブの今夜は、この最高級な部屋で豪華なディナーを食べて、いいワインを飲んだ。


そして、ケーキもルームサービスでブッシュ・ド・ノエルが届く。


「ケーキ見ると、真湖ちゃんとの出会った夜を思い出すな」


「そうだね」


あの夜は、生クリーム系でまん丸のケーキだったけど。


テーブルの上の、チョコ系の丸太のようなそのブッシュ・ド・ノエルに目を落とす。


「いつも思うけど、早瀬さんもそうだけど、護衛の人達も私達と一緒にご飯食べてもいいんじゃない?」


そりゃあ、今夜の食事に限らず、いつもお金を出すのは一夜だから、私がそう言うのもおかしな話なのだけど。



「別に、アイツらに気を使わなくてもいいよ。
俺と同じテーブルで食事とか、アイツらも疲れるだろうし」


確かに、一夜は護衛の人達からしたら、かなり上の人だから。


そんな人と食事を食べるのは、確かに気が張るかな。


「まあ、早瀬は、今度言ってみる」


クリスマスイブの今夜は、早瀬さんは来ていない。


多分、女性とデートなのだろう。


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