夜と遊ぶ
「この先、社会人になる真湖ちゃんにピッタリかな?って」
その言葉を聞き、その辺りの話をこの人と話した事はないけど、就活とか全くしていない私を見て、
なんとなくその辺りも察していたんだな。
「ありがとう。凄く嬉しい。
ちょっと意外だったけど」
そのボールペンを手に取り、色々な角度から見る。
朱色だけど、日に当たればもっと赤く見えるかもしれない。
そして、私の名前が刻まれている事に気付いた。
"Mako.A"
「俺がボールペンあげるって意外?」
「一夜がってより、なんとなく、こういう時のプレゼントって、アクセサリーとかなのかな?って」
それは、あまり恋愛経験のない私が、勝手に思っているだけなのだけど。
「アクセサリーが欲しいのなら、いつでも買ってあげるよ?」
「いや、別にアクセサリーが欲しいわけじゃないよ」
「そうじゃなくて。ただのプレゼントなら、アクセサリーでもいいけど。
クリスマスで特別なプレゼントだから。
だから、別れた後も真湖ちゃんが使ってくれそうなものにした」
確かに、別れた男から貰ったアクセサリーなんか、付けられないな。
友達でも、元彼から貰ったネックレスや指輪を、メルカリで売ってる子も居るし。
私も昌也から貰ったアクセサリー類は、そのうち処分するだろうな。
「ボールペン、一生大切にするね」
「うん。俺もこの眼鏡、一生大切にする」
一夜は、掛けたままの眼鏡のフレームに撫でるように触る。
一夜と別れた後も、その眼鏡はずっと一夜の側に居てくれるのか。
プレゼントして、良かった。