夜と遊ぶ
翌日。


本当に、一夜は私を温泉へと連れて来てくれた。


それは、高速を車で飛ばして二時間程の距離にある、
山奥にある老舗の高級旅館。



「俺の念願叶った」


一夜は満足そうに、顎の辺り迄お湯に浸かっている。


実は、一夜ともう数え切れない程肉体関係があるにも関わらず、一緒にお風呂に入るのは今が初めて。


「恥ずかしいから、嫌だって言ったのに」


私も、深くお湯に浸かる。



此処に来て直ぐに、


「真湖ちゃん!一生のお願い!
一緒にお風呂に入ろう?ね?」


首を横に倒し、思わずキュンとするくらい可愛く一夜にお願いされた。


今まで、その一夜の一緒にお風呂に入りたいというお願いを、
私は断って来たのだけど。


だけど今日は、高級旅館の、客室に大きな専用の露天風呂の付いた豪華な部屋を用意されて、
断るなんて出来なかった。


ちなみに、いつものように早瀬さんの運転する車で来たのだけど、
勿論、いつもの護衛の人達も居て。


この旅館のワンフロアの部屋全部を貸し切りにしているので、
この部屋には私と一夜しか居ない。


前回のクリスマスイブの時よりも、二人っきりって感じがする。


出発が夕方だったので、着いたらすぐに夕食だった。


生まれて初めて食べた牡丹鍋に、豪華なお造りの盛り合わせ。


後は、旬の野菜の天ぷらやちょっとした小鉢等で、
お腹がパンパンで。


今も、お腹がぽっこりと出ている。


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