夜と遊ぶ
「辞めろっ!!」

その声に、永倉ジュニアの私の髪を掴む手が離れた。

その声は、一夜のもの。


手が離されても、頭皮がヒリヒリとしている。


「真湖ちゃん、なかなか来ないから心配になって。
来てみて、良かった」


一夜は私の前へと立ち、永倉ジュニアから護ってくれる。



少し遅れて、一夜の護衛の人達がこちらへとやって来て、少し離れた所で止まる。


「加賀見会長、すみません。
この女にちょっと訊きたい事があって」


永倉ジュニアはそう謝っているが、目に敵意が有り、それが一夜に向いている。


「ジュニア、お前女に質問するのに、髪の毛掴むの?」


「そうですね。なかなか答えないから、ちょっと苛ついて」


「真湖ちゃんが俺の大事な女だって、知ってんの?」


「勿論、知ってますよ。
年末の時も、加賀見会長がバニーガールのケツ触りながら、この女とイチャイチャ電話してたの、横で聞いてたんで」


「あー、最悪。ジュニア、なんでそれ真湖ちゃんの前で言っちゃうの。
だって、あの場で俺だけ触らないのも、周り白けるだろ?」


それって、この人達の忘年会の時の、バニーガールが居るセクキャバでの話なのだろう。


一夜、バニーガールのお尻触っていたの?


なんだか、こんな場面だけど、その事に傷付いて、泣けて来る。



「ジュニア、俺に恨みでもあるの?
あ、もしかして、今もまだ根に持ってる?
昔、俺がお前のドラクエのセーブデータを消した事?
あれ、ラスボスと戦う直前だったよな?
あの時は俺もまだ中2とかで、ちょっとした出来心だったんだよ」


「うぜぇ。
お前らのそのふざけた感じが、昔からウザイ」


永倉ジュニアが口にしたのは、お前じゃなく、お前ら?


そして、この人は昔から一夜と交遊があったのか。


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