夜と遊ぶ

「真湖ちゃんの誕生日が、嫌な思い出だけになったら、可哀想だなって。
祝うのが俺なんかで、悪いけど」


「ううん。
凄く嬉しい。ありがとう」


「そんな風に言われたら、ちょっと照れ臭いし」


そう、恥ずかしそうに笑っていて、それを見て私もクスクスと笑ってしまう。


「あなたの誕生日はちゃんと誰かとお祝いするの?」


やはり、彼女とかと祝ったりするのだろうか?


明日というか、日付的に今日の夜とかに。



「うちの組の奴らが、そこそこテレビに出てる手品師とか呼んで、パーと祝ってくれるって」


それは、組員総出の誕生日パーティー的なもの?


「彼女とかと二人でお祝いしないの?」


「しない。今、彼女居ないんだよね、俺」


「そう…」


それは本当だろうか?


この人が独身なのは、知ってるけど。


「ここだけの話、ヤるだけの女は沢山居るけど」


「最低…」


「どう?真湖ちゃん俺と付き合う?」


「いや、それは…」


「俺、浮気はするかもしれないけど、誕生日の日に彼女を一人にするような酷い事はしないよ?」


そう言われた言葉や私を見る目が優しくて、
胸がドキドキと高鳴る。


「けど、俺はヤクザだし、やっぱり真湖ちゃんみたいな子と付き合うのは無理だ」


そう笑っていて。


先程、付き合う?って言ったのは冗談だったんだな。

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