夜と遊ぶ
一夜の住むマンションの地下駐車場へ行き、そこで車のキーを持って来た護衛の一人と落ち合う。


「GPS 見ながら付いて来ても構わないから、ちょっと真湖ちゃんと二人にして」


車に乗り込む前に、一夜はその護衛の人にそう言っていた。


一夜が運転席に乗り、私は助手席。


「俺、車の運転するの2年振りくらいだから。
事故ったら、ごめんね」


駐車場を出たくらいで、一夜はそう笑っていた。


多分、この車は一夜自身の車なのだろう。


赤いベントレー。



「真湖ちゃん、寒くない?」


そう言って、暖房を強めてくれる。


寒いのかもしれないけど、今はそんな事が気にならない。


さっきから手が震えているけど、これは寒さでじゃない。


一夜が、怖い。


暫くは、一夜の方から話し掛けてくれていたけど、
そのうち会話がなくなり、車内は静になり、暖房の温風の音だけが耳に届く。


< 130 / 215 >

この作品をシェア

pagetop